- 「日本で働く外国人スタッフへの教育方法に悩んでいる」
- 「海外拠点のメンバーに、本社と同じレベルの研修を提供したい」
- 「グローバルな人材育成の基盤をどう作ればいいか分からない」
企業のグローバル化が加速する中、こうした海外拠点や外国人材への教育における課題は、多くの企業にとって喫緊のテーマです。教育の質のばらつきは、生産性の低下やコンプライアンスリスクに直結しかねません。その最も効果的な解決策として注目されるのが、「多言語対応eラーニングシステム」の導入です。
しかし、一言で「多言語対応」と言っても、製品によって機能や特徴は様々。どのシステムが自社のグローバル研修に最適なのか、見極めるのは簡単ではありません。
この記事を読めば、主要な多言語対応eラーニングシステムの特徴が分かり、自社の目的や課題に最適なシステムを選ぶことができます。結論から言うと、システムの選定は「学習管理(LMS)機能が本当に必須か」という点が大きな分かれ道になります。ぜひ、最後までご覧いただき、貴社に最適なパートナーを見つけてください。
多言語対応eラーニングシステムとは?
多言語対応eラーニングシステムとは、学習者がログインしてからコース選択、受講、テスト、修了証の確認に至るまで、操作する画面(UI)そのものが各言語に切り替えられるだけでなく、研修教材を多言語化できるシステムのことです。
これにより、日本語が得意でない学習者でも迷うことなく研修を進めることができ、世界中のどこにいても均質な学習環境を提供できます。従業員教育を多言語で行う上で、学習者が見る画面すべてのUI対応は、もはや必須の機能と言えるでしょう。
なぜ今、多言語対応のeラーニングが求められるのか?
今、多くの企業で多言語対応のeラーニングが求められる背景には、避けては通れない4つの経営課題があります。
グローバル化と海外拠点との連携強化
海外拠点が増える中で、全社で統一された理念やコンプライアンス、そして製造業であればSOP(標準作業手順書)といった技術レベルを維持する必要性が高まっています。物理的な距離を超えて、教育の質とスピードを担保する手段が不可欠です。
国内における外国人材雇用の増加
労働力不足を背景に、日本国内で働く外国人材は増加の一途をたどっています。彼らがスムーズに業務を習得し、早期に戦力化・定着するためには、母国語での分かりやすい外国人研修をオンラインで行うことが最も効率的かつ効果的なのです。
法律で定められた研修の効率化
製造業や介護、建設業といった特定の業種では、安全衛生教育など法律によって従業員への研修が義務付けられています。外国人材が増える中で、これらの必須研修を彼らの母国語で、かつ効率的に実施する手段としてeラーニングが活用されています。これにより、コンプライアンスを遵守しつつ、教育コストを削減できます。
教育レベルの均質化と属人化からの脱却
OJT(現場研修)は重要ですが、指導担当者によって教え方や内容にばらつきが出る「教育の属人化」という大きなリスクを抱えています。これをシステム化することで、誰がいつ入社しても、全従業員に一定水準の知識・スキルを保証できます。
自社に最適なシステムを選ぶ3つの判断軸
多言語対応eラーニングシステムを選ぶ際に、絶対に外せない3つの判断軸をご紹介します。この3つを自社に問いかけることで、導入後の「こんなはずではなかった」という失敗を防ぐことができます。
対応言語とUIの範囲は十分か?
「10言語対応」と書かれていても、その範囲はシステムによって大きく異なります。将来的な事業展開も見据え、以下の点を確認しましょう。
- 学習者側の管理画面(ログイン、コース一覧、マイページなど)はすべて翻訳されているか?
- 管理者側の画面も、英語など最低限の言語には対応しているか?
- 将来的に、新たな言語を追加することは可能か?
自社が必要とする言語圏のスタッフが、管理者も学習者もストレスなく使えるシステムを選ぶことが重要です。

オウルキャストの受講画面。テスト問題も含め、受講サイト全体の翻訳が可能です。
動画の字幕・音声も完全多言語化
多くの多言語対応システムは、受講画面(UI)の言語を切り替える機能にとどまります。しかし、本当に質の高いグローバル研修を実現するには、研修動画の「字幕」や「音声」そのものも多言語化する必要があります。
「オウルキャスト」や「ソーシャルキャスト」は、Vimeoと連携することで、1つの動画で複数の言語の字幕や音声をAI翻訳することができます。これにより、学習者は自分に合った言語で動画コンテンツを視聴でき、特に複雑な技術や手順を伝える研修において、圧倒的に高い学習理解を促進します。コンテンツ制作者にとっても、日本語の動画を作れば多言語展開できるため、制作コストを大幅に削減できるという大きなメリットがあります。
以下のサンプル動画では、日本語で喋っている講師が、設定1つで英語や中国語で自然に話しています。
学習管理(LMS)機能は本当に必要か?
LMS(学習管理システム)は、誰がどの講座をどこまで受講したか、テストの点数は何点か、といった詳細な進捗管理ができる非常に高機能な仕組みです。コンプライアンス研修など、全従業員の受講を厳密に管理したい場合には必須の機能です。
一方で、「まずは研修動画を関係者だけに安全に共有できれば十分」というケースも多いのではないでしょうか。高機能なLMSは、その分コストも高く、操作が複雑になりがちです。「eラーニングにLMSは不要」と考えるなら、よりシンプルな動画配信システムが選択肢になります。自社の目的はどこにあるのか、厳密な管理とコスト、どちらを優先するのかを明確にしましょう。

オウルキャストは学習の進捗状況や、動画の視聴履歴を詳細に確認できます。
自社ブランドの教育プラットフォームを構築できるか?
導入するシステムは、単なる研修ツールでしょうか?それとも、自社の知的財産(コンテンツ)を蓄積し、全社統一の「教育プラットフォーム」として資産化していくものでしょうか?
他社のロゴが入ったシステムを使い続けるのか、自社ブランドのeラーニングサイトを構築し、従業員のエンゲージメントを高めていくのかで、選ぶべきシステムは大きく変わります。自社ブランドのプラットフォームは、単なる研修ツールを超え、企業の文化醸成にも貢献する重要な資産となり得ます。

オウルキャスト・ソーシャルキャストは独自ドメインが利用でき、UIは自由に変更できます。もちろんマルチデバイス対応です。
多言語対応eラーニングシステムおすすめ6選
それでは、以上の判断軸をもとに、おすすめの多言語対応eラーニングシステムを6つご紹介します!
オウルキャスト/株式会社ストランダー
特徴:
「オウルキャスト」は、自社ブランドの本格的な多言語eラーニング「サイト」を構築できるシステムです。テストやアンケート、進捗管理といった高度な学習管理機能に加え、デザインの自由度も高く、企業の教育プラットフォームとして長期的に資産化できます。Vimeo連携による動画コンテンツの字幕・音声を完全多言語化することも可能で、35以上の言語に対応しています。
こんな企業におすすめ:
- 独自の研修コンテンツで、全社統一の教育基盤をグローバルに展開したい企業
- パートナー企業や代理店向けの高度な教育ポータルサイトを構築したい企業
オウルキャスト公式サイト
https://owlcast.jp/lp/multilingual-training/
ソーシャルキャスト/株式会社ストランダー
特徴:
「ソーシャルキャスト」は、「オウルキャスト」の兄弟製品です。あえて学習管理(LMS)機能を省き、シンプルさと導入しやすい価格に特化した多言語対応の動画配信システムです。会員制のセキュアな動画サイトを簡単に構築でき、研修動画などを関係者だけに限定公開する用途に最適です。Vimeo連携による動画の多言語化にも対応しており、シンプルながら質の高い教育環境を実現します。
こんな企業におすすめ:
- 研修動画の配信が目的で、受講者の厳密な進捗管理は不要な企業(受講者毎の視聴履歴は取得可能)
- 低コストで多言語対応の動画共有サイトを立ち上げたい企業
ソーシャルキャスト公式サイト
https://socialcast.jp/
LearningWare/株式会社プロシーズ
特徴:
大手企業への導入実績が非常に豊富で、信頼性の高い統合型LMSです。eラーニングだけでなく、集合研修の出欠管理やアンケート機能、人材データベースとの連携など、人材開発に関わる業務を幅広くカバーしています。
こんな企業におすすめ:
- 従業員数が多く、eラーニング以外の研修も一元管理したい大企業
LearningWare公式サイト
https://www.pro-seeds.com/learningware/
Platon/ロゴスウェア株式会社
特徴:
初期費用が無料で、月額料金も比較的安価なため、スモールスタートに適しています。まずはeラーニングの効果を試してみたい、という場合に有力な選択肢となります。
こんな企業におすすめ:
- まずは一部の部署や特定の研修だけで、多言語eラーニングを試してみたい企業
Platon公式サイト
https://platon.logosware.com/
Udemy Business/株式会社ベネッセコーポレーション
特徴:
ITスキルからビジネススキルまで、世界中の第一線で活躍するプロフェッショナルが講師を務める講座が定額で学び放題になるサービスです。自社で教材を作成するリソースがない場合に非常に便利です。
こんな企業におすすめ:
- 自社で教材を作成せず、従業員の自発的なスキルアップ(自己啓発)を促進したい企業
Udemy Business公式サイト
https://www.benesse.co.jp/udemy/business/
Cross Learning/株式会社クロスリンク
特徴:
製造業や物流業で働く外国人に特化し、安全教育や専門用語といった、すぐに現場で役立つコンテンツが予め用意されています。即戦力化を急ぐ場合に有効な選択肢です。
こんな企業におすすめ:
- 派遣社員や技能実習生の受け入れを積極的に行っており、即戦力化を急いでいる企業
Cross Learning公式サイト
https://crosslink.jp.net/crosslearning/
多言語対応eラーニングシステム6選 比較一覧
上記でご紹介した主要な6つのシステムの比較表です。
製品名 | キャッチコピー/特徴 | 多言語対応 | 学習管理(LMS) | 料金体系 | 特にこんな企業におすすめ |
---|---|---|---|---|---|
オウルキャスト | 独自の多言語eラーニングサイトを構築・資産化 | 〇 UIも動画(字幕・音声)も 多言語化可能 |
〇 | 月額定額(ID数無制限) | 自社ブランドの統一教育基盤をグローバル展開したい企業 |
ソーシャルキャスト | LMS不要な場合に。多言語動画サイトを簡単構築 | 〇 UIも動画(字幕・音声)も 多言語化可能 |
なし | 月額定額(ID数無制限) | 研修動画の限定配信やシンプルな動画共有をしたい企業 |
LearningWare | 大手企業導入実績No.1の統合LMS | 〇 | 〇 | 要問合せ | 大規模組織で総合的な人材管理をしたい企業 |
Platon | コストを抑えて始められるクラウド型LMS | 〇 | 〇 | 月額+ID従量課金 | スモールスタートで多言語研修を試したい企業 |
Udemy Business | 世界最大級のオンライン学習コンテンツ | △ | △ | サブスク | 最新のビジネススキルを幅広く学びたい企業 |
Cross Learning | 製造・物流業の外国人材教育に特化 | 〇 | 〇 (一部) | 月額定額 | 派遣・技能実習生向けの教育をしたい企業 |
あなたに最適なシステムはどれ?ケース別おすすめ診断
ケースごとにおすすめのシステムをまとめました。自社のご状況や想定に近いケースを参考にしてみてください。
Case1. 「自社ブランドの教育サイトを構築し、グローバルに展開したい」場合
- 背景: 全社で統一された教育基盤を持ちたい。単なる研修ツールではなく、企業の知的財産としてコンテンツを資産化し、将来的にはパートナー企業への展開も視野に入れている。従業員の進捗管理やテスト機能も必須。
- おすすめのシステム: 「オウルキャスト」。サイト構築の自由度、高度なLMS機能、ID数無制限のコスト体系、そして将来的な拡張性を持つ唯一の選択肢です。自社の教育体系を、世界中の拠点に同じ品質で展開できます。
Case2. 「LMSは不要。研修動画を安全に、多言語で関係者だけに共有したい」場合
- 背景: 厳密な進捗管理は不要。まずはコストを抑え、特定の部署やプロジェクトメンバー、海外拠点向けに研修動画を限定公開する場所が欲しい。セキュリティは担保したい。
- おすすめのシステム: 「ソーシャルキャスト」。高機能なLMSを省くことで、低コストとシンプルさを実現しています。ID数無制限なので、将来的に対象者が増えても安心。セキュアな環境で、すぐに多言語の動画共有を始められます。
Case3. 「既存の豊富なコンテンツを、従業員の自己啓発に活用したい」場合
- 背景: 自社で教材を作成するリソースや時間は限られている。しかし、従業員には最新のITスキルやビジネススキルを自律的に学んでほしい。
- おすすめのシステム: 「Udemy Business」。自社で教材を作る手間をかけずに、世界中の質の高い研修を福利厚生の一環として提供できます。
Case4. 「製造現場や物流拠点で働く外国人スタッフ向けの教育を急いでいる」場合
- 背景: 専門用語や安全教育など、業界特有のコンテンツが必要。自社で一から教材を作る時間がない。派遣社員や技能実習生向けに、すぐに使える教材が欲しい。
- おすすめのシステム: 「Cross Learning」。業界に特化したコンテンツが予め用意されているため、導入後すぐに研修を開始できます。即戦力化が最優先課題の場合に強力な選択肢となります。
まとめ:自社の「目的」と必要な「機能レベル」を見極めよう
今回は、6つの多言語対応eラーニングシステムを比較しました。
重要なのは、自社がeラーニングに何を求めているのか、その「目的」を明確にすることです。そして、その目的を達成するために、「学習管理まで含めた本格的なeラーニングサイトを構築するのか」、それとも「まずはシンプルに動画を配信する基盤が欲しいのか」という判断軸で、必要な機能レベルを見極めることが、システム選びの成功に繋がります。
弊社では、どちらのニーズにも高いレベルでお応えできるソリューションをご用意しています。
よくあるご質問(FAQ)
Q. LMSありとなし、結局どちらを選べばいいですか?
A. 「全従業員の受講状況やテスト結果を厳密に管理する必要があるか」が判断基準です。コンプライアンス研修のように履修履歴が必須の場合はLMSありの「オウルキャスト」。まずは研修動画を部署内や関係者に限定して共有できれば十分、という場合はLMSなしでシンプルに使える「ソーシャルキャスト」が最適です。
Q. IT専門の担当者がいなくても、eラーニングサイトを構築・運用できますか?
A. はい、可能です。今回ご紹介したクラウド型のシステムは、プログラミングなどの専門知識がなくても、管理画面から直感的に操作できるように設計されています。特にオウルキャストやソーシャルキャストは、サポート体制も充実しており、初めての方でも安心してサイト構築・運用に取り組んでいただけます。
Q. YouTubeやVimeoの限定公開と何が違うのですか?
A. YouTubeなどの無料プラットフォームは手軽ですが、ビジネス利用にはいくつかの課題があります。例えば、「関係のない動画がおすすめ表示されてしまう」「自社のロゴやブランドカラーを反映できない」「誰が視聴したか管理できない」といった点です。オウルキャストやソーシャルキャストのような専門システムを使えば、自社ブランドで統一された研修専用のポータルサイトを構築でき、学習に集中できる環境と、セキュアな会員管理を両立できます。